重力ピエロ
「春が二階から落ちてきた。」
この文章で始まり、この文章で終わる。オシャレな小説の究極的な形。
「春」というのは、主人公である「和泉(いずみ)」の弟の名前。つまり、「春が二階から落ちてきた」とは、情緒に溢れた詩的な表現ではなく、人間が建物の二階から重力に逆らえずに落下してきた物理現象を描写している。
小説を読んだ人にしか、この文章の真の意味を理解することはできない。オシャレすぎる。
また、この兄弟の名前もオシャレ。
兄の「和泉」と弟の「春」。この2人の名前の共通点は、英語にすると2人とも"spring"になること。双子ができたときに備えて持っておきたい名前候補です。
と、”伊坂ワールド”を理解している人だったら分かっているはず。人の死でさえエンターテインメイト性に富んだコロし方をする世界観を理解しているならば。あくまでフィクションとして楽しむべきです。